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高松高等裁判所 昭和36年(う)102号 判決

被告人 麦倉義雄

主文

本件控訴を棄却する。

当審の訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

被告人の控訴趣意第一点について、

所論は、被告人には窃盗の犯意がないと主張するものである、本件記録によると被告人は判示当時株式会社新町橋スーパーマーケツトに対し合計二十八万三千五百七十四円の約束手形金及び売掛残代金十七万二千百九十円の債権を有しその取立に苦慮していた処、偶々森富恵が同社に対し動産仮差押の措置に及ぶことを聞き、この仮差押の機会に便乗して同社の動産を自宅店舖に持帰り同社が右金員を持参するときはその物件を返却するが若しこれを怠るときは該物件を右債権の返済に当てようと考え、原判示日時森富恵が動産仮差押中の判示スーパーマーケツトに入り店員の制止もきかず、同会社所有の金銭登録器二台(時価五十万円相当)並びに乾物類等四千三百八十五点(時価十七万九百九十九円相当)を同店舖より運び出し予て用意したオート三輪車三台に積み肩書住居の店舖に持帰つたことを認め得べく、右被告人の意思は刑法第二百三十五条所定の窃盗の犯意に当るもので、窃盗の犯意なしとの本論旨は理由がない。

(その余の判決理由は省略する)

(裁判官 加藤謙二 小川豪 雑賀飛竜)

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